個人事業主のETCカードの作り方比較|高速代の経費計上も解説
個人事業主がETCカードを作る3つの方法(クレジットカード付帯・ETCパーソナルカード・事業者向けカード)を比較表で解説。費用や向いている人、高速料金を経費にするときの勘定科目と家事按分の考え方を国税庁の情報をもとに整理します。

結論:個人事業主がETCカードを用意する方法は、主に「クレジットカードに付帯するETCカード」「ETCパーソナルカード」「事業者向けETCカード(ETCコーポレートカードなど)」の3つです。手軽さなら事業用クレジットカードの付帯カード、クレジットカードを使いたくないならETCパーソナルカード、高速道路を多く使うなら事業者向けカードが候補になります。高速料金は事業で使った分を必要経費にでき、私用分は除きます。
この記事で分かること:3つの作り方の比較表/自分に合う選び方/高速料金の経費計上の考え方(勘定科目・家事按分)/よくある失敗と質問。
個人事業主がETCカードを作る方法(比較表)
| 比較項目 | クレジットカード付帯のETCカード | ETCパーソナルカード | 事業者向けETCカード(ETCコーポレートカードなど) |
|---|---|---|---|
| 発行元 | クレジットカード会社 | 高速道路会社(NEXCO各社など) | 高速道路会社が貸与。事業協同組合などを通じて申し込む形が多い |
| クレジットカード | 必要(親カードの審査あり) | 不要 | 不要な発行形態もある(組合ごとに条件が異なる) |
| 主な費用 | 年会費・発行手数料はカードによる | 年会費1,257円(税込)。平均利用月額の4倍のデポジット(最低3,000円)を預ける | 組合の出資金・手数料、支払い保証(保証金など)が必要な場合がある |
| 使える車 | どの車でも使える | どの車でも使える | ETCコーポレートカードは券面に記載された登録車両のみ |
| 割引 | 通常のETC割引 | 通常のETC割引 | ETCコーポレートカードは大口・多頻度割引の対象 |
| 経費管理 | 事業用カードにすれば明細を分けやすい | 利用明細で管理。口座引き落とし | 車両ごとの利用額を管理しやすい |
| 向いている人 | すでに事業用クレジットカードがある人 | クレジットカードを作れない・作りたくない人 | 配送・営業などで高速道路を頻繁に使う人 |
出典:ETCパーソナルカードの年会費・デポジット・支払い方法はNEXCO西日本「パーソナルカード」、大口・多頻度割引とETCコーポレートカードの対象(法人・個人事業者)はNEXCO中日本「大口・多頻度割引制度の概要」によります(いずれも2026年10月6日確認。条件は変更されることがあります)。
どれを選ぶ?状況別の目安
- 事業用のクレジットカードを持っている → まずはその付帯ETCカード。明細が事業用にまとまり、経費の仕分けが楽になります。
- 開業直後などでクレジットカードの審査が不安 → ETCパーソナルカード。デポジットが必要な点を見込んでおきます。
- 高速道路を仕事で頻繁に使う、複数台で使う → 事業者向けETCカード。大口・多頻度割引の対象になるか、組合の加入条件と費用を確認します。
事業者向けカードの各社の違いは法人ETCカードの比較、個人向けとの違いは個人カードと法人カードのETC比較で整理しています。
発行までの早さを重視する場合は、スピード発行をうたう製品もあります。
高速料金を経費にする考え方
ここでは国税庁の公開情報で確認できた範囲に絞って説明します。自分のケースで経費にできるか、どの割合にするかは、税理士や税務署に確認してください。
必要経費になるのは「業務に直接必要だった分」
国税庁は、家事上と業務上の両方に関わる費用(家事関連費)について、必要経費になるのは取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその金額に限られると説明しています(国税庁 タックスアンサーNo.2210 やさしい必要経費の知識)。また所得税基本通達45−2では、業務に必要な部分が50%以下でも、その部分を明らかに区分できれば必要経費に算入して差し支えないとしています(国税庁 所得税基本通達 家事関連費)。
高速料金はETCの利用明細に1回ごとの日時・区間が残るため、取引先への訪問など事業での移動分と、私用の移動分を明細の行ごとに分けやすい費用です。事業分だけを計上し、家族旅行などの私用分は除きます(家事按分)。
勘定科目は「旅費交通費」で処理するのが一般的
国税庁の確定申告書等作成コーナーでは、必要経費の科目の一つとして「旅費交通費」を設け、「電車賃、バス代、タクシー代、宿泊代など」と説明しています(国税庁 確定申告書等作成コーナー「旅費交通費」)。高速料金はこの例示には含まれていませんが、業務での移動にかかる費用として旅費交通費で処理するのが一般的です。どの科目を使うかは税理士に確認し、毎年同じ考え方で処理すると管理しやすくなります。
記録の残し方(例)
| 利用日 | 区間 | 金額 | 用途 | 経費にするか |
|---|---|---|---|---|
| (例)5月10日 | A IC → B IC | (明細の金額) | 取引先○○社へ納品 | する |
| (例)5月18日 | A IC → C IC | (明細の金額) | 家族で外出 | しない |
ETCの利用明細に、訪問先や用途を月ごとにメモしておくと、後から説明しやすくなります。
よくある失敗
- 私用の高速料金まで経費にしてしまう:明細の行ごとに用途を確認し、事業分だけを計上します。
- 1年分の明細を年度末にまとめて処理する:どこへ何のために行ったか思い出せなくなりがちです。月ごとに記帳します。
- 私用カードと事業用カードが混在する:仕分けの手間が増えます。事業用はカードを分けると管理しやすくなります。
よくある質問
Q. 個人事業主でも法人向けのETCカードを作れますか?
A. 個人事業者を対象に含むカードがあります。NEXCO中日本は、大口・多頻度割引の対象として法人と個人事業者を挙げています。申し込み条件は組合や製品ごとに違うため、申し込み前に確認してください。
Q. 個人名義のクレジットカードのETCで払った高速料金も経費にできますか?
A. 事業で使った分を区分できれば、経費にできると考えられます。ただし公私の区別がしにくくなるため、事業用のカードや明細に分けるほうが管理しやすくなります。個別の判断は税理士・税務署に確認してください。
Q. ETCパーソナルカードのデポジットは利用料金に使われますか?
A. NEXCO西日本の案内では、デポジットはカード発行にあたっての保証金で、毎月の利用額を差し引く前払金ではないと説明されています。利用料金は毎月、登録した口座から引き落とされます。解約時の扱いなどの詳細は、ETCパーソナルカードの利用規約や公式窓口で確認してください。
Q. 勘定科目は旅費交通費でなければいけませんか?
A. 国税庁が高速料金の科目を個別に指定しているわけではありません。実務では旅費交通費とすることが多いですが、科目の選び方は税理士に確認すると安心です。仕訳の例は法人ETCカードの経理・仕訳ガイドでも紹介しています。
まとめ
- 個人事業主のETCカードは、クレジットカード付帯・ETCパーソナルカード・事業者向けETCカードの3択。利用頻度とクレジットカードの有無で選びます。
- 高速料金は、業務に直接必要だった分を明細で区分して必要経費にし、私用分は除きます。科目は旅費交通費とするのが一般的です。
- 税務の扱いは個別の事情で変わるため、判断に迷う点は税理士・税務署に確認してください。
本記事は一般的な参考情報を提供するものであり、特定のサービス・契約・取引の結果を保証するものではありません。 制度・料金・各社サービスの内容は変更される場合があります。実際のご契約・お手続きの際は、必ず各社の公式情報や最新の一次情報をご確認ください。