ユニック車の買取|査定で見られる点・売却の流れ・クレーンの書類
ユニック車(クレーン付きトラック)を売るときに査定で見られる点を、クレーンの能力・段数・ラジコン・アウトリガー・ベース車の表で整理。売却の流れ、車の必要書類に加えてそろえたいクレーンの定期自主検査の記録や移動式クレーン検査証の扱いも解説します。

結論:ユニック車(クレーン付きトラック)の買取では、ベース車(シャシー)の年式・走行距離とは別に、クレーン部分の能力・段数・作動状態と、クレーンの検査・点検の記録が見られます。売る前に、クレーンの銘板(メーカー・型式)と性能を控え、定期自主検査の記録をそろえ、当日クレーンを動かして見せられるようにしておくと、査定の説明がかみ合いやすくなります。この記事では、査定で見られる点の表、売却の流れ、普通のトラックにはない「クレーンの書類」の扱いを整理します。金額の相場は個体差と市況で大きく変わるため、根拠のない数字は書きません。
「ユニック車」とは:呼び方の整理
「ユニック(UNIC)」は、古河ユニック株式会社が1961年に発売した積載形クレーンに付けた商品名です。同社は、この名前が今では積載形クレーンの代名詞として広く浸透していると紹介しており、親会社の古河機械金属も「車両搭載型クレーンの代名詞『ユニック』」と説明しています(出典:古河ユニック「沿革」、古河機械金属「ユニック部門」)。
そのため現場では、他社製のクレーンを載せた車も含めて「ユニック車」と呼ばれることがありますが、一般的な呼び方はクレーン付きトラック、積載形トラッククレーン、トラック搭載型クレーンなどです。査定を依頼するときは「ユニック」という呼び名だけでなく、クレーンのメーカーと型式を伝えると、業者が性能や部品の入手性を正確に確認できます。
ユニック車の査定で見られる点(早見表)
クレーン付きトラックは、「クレーン」と「ベース車」の二つを別々に見られます。自分の車がどうなっているかを、右の列の方法で確認しておきましょう。
| 区分 | 査定で見られる点 | どこで確認するか | 評価が下がりやすい例 |
|---|---|---|---|
| クレーン | メーカー・型式・製造年 | クレーン本体の銘板、取扱説明書 | 銘板が読めず型式を特定できない |
| クレーン | つり上げ能力(最大つり上げ荷重)・最大作業半径 | 銘板、性能表(定格荷重表)、移動式クレーン検査証(3トン以上の場合) | 性能を示す資料がなく、説明が口頭だけ |
| クレーン | ブームの段数 | 型式・性能表(同じシリーズでも段数違いの機種がある) | 段数と作業内容が合わず、次の買い手が限られる |
| クレーン | ラジコン(無線操作装置)の有無と作動 | 送信機・受信機の有無、電池・充電器、実際に操作して確認 | 送信機の紛失、操作が効かない |
| クレーン | アウトリガー(張り出し脚)の張り出し・格納、張出幅 | 実際に張り出して確認、性能表 | 張り出し・格納の不良、ジャッキからの油漏れ |
| クレーン | 伸縮・起伏・旋回・巻上げの作動、油圧の漏れ・異音 | 実際に一通り動かして確認 | 動作が途中で止まる、シリンダーやホースからの油漏れ |
| クレーン | ワイヤロープ・フック・安全装置 | 月次の自主検査の記録、目視 | ワイヤロープの損傷、警報装置の不具合 |
| 荷台・架装 | 荷台(平ボディ)の床・あおり、クレーン取付部のサビ・腐食 | 目視、整備明細 | 床板の傷み、取付部やフレームの腐食 |
| ベース車 | メーカー・車種、車両総重量・最大積載量、年式、走行距離、排出ガス規制への適合 | 車検証、点検記録簿 | 機関系の不調、記録がない過走行 |
| 書類 | クレーンの定期自主検査の記録、検査証、整備明細 | 社内の保管書類、整備工場 | 記録がなく状態の裏付けがない |
※評価の傾向を整理したもので、実際の査定額は個体の状態と時期の需給で決まります。ベース車側の評価(車格・NOx・PM法・走行距離など)はトラック買取の査定額を決める8要素で詳しく解説しています。
つり上げ荷重「3トン」が書類の分かれ目になる
労働安全衛生法施行令では、つり上げ荷重が3トン以上の移動式クレーンは「特定機械等」とされ、製造検査(輸入したものなどは使用検査)に合格すると移動式クレーン検査証が交付されます。検査証の有効期間は原則2年で、性能検査に合格すると更新されます。3トン未満のクレーンには検査証はありませんが、つり上げ荷重0.5トン以上であれば、後述の定期自主検査の対象です(出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」第12条、同「クレーン等安全規則」第2条・第55条・第57条・第60条・第84条)。
たとえば古河ユニックの中型トラック架装用シリーズの製品一覧には、最大つり上げ荷重2.93トンで、ブームの段数が3段〜6段の機種が並んでいます(出典:古河ユニック「中型トラック架装用」製品一覧)。自分のクレーンが3トン以上か未満かは銘板や性能表で確認でき、それによって用意する書類が変わります。
そろえておきたいクレーンの書類(法定の検査・点検記録)
クレーン等安全規則は、移動式クレーンを使う事業者に検査と記録の保存を求めています。事業で使っていたユニック車なら、次の書類が手元にあるはずです。売却時に渡せるようにそろえておくと、クレーンの状態を説明する裏付けになります。
| 書類 | 対象・内容 | 根拠(クレーン等安全規則) | 売却時の扱い |
|---|---|---|---|
| 年次の定期自主検査の記録 | 1年以内ごとに1回。原則として荷重試験を含む | 第76条 | 直近の記録を用意し、検査日を査定時に伝える |
| 月次の定期自主検査の記録 | 1か月以内ごとに1回。安全装置・警報装置・ブレーキ、ワイヤロープ、フック等のつり具などを検査 | 第77条 | 不具合の指摘と補修の履歴があれば一緒に示す |
| 自主検査の記録の保存 | 上記の自主検査の結果を記録し、3年間保存 | 第79条 | 保存している期間分をまとめておく |
| 移動式クレーン検査証(つり上げ荷重3トン以上) | 有効期間は原則2年。性能検査に合格すると更新される | 第60条・第84条 | 原本を引き渡す。有効期間の残りを確認しておく |
出典:e-Gov法令検索「クレーン等安全規則」。このほか同規則は、作業を始める前の点検(第78条)や、異常を見つけたときの補修(第80条)も定めています。
移動式クレーン検査証のあるクレーンでは、設置している者に異動があったとき、異動後10日以内に所轄の労働基準監督署長へ検査証の書替えを申請することになっています(同規則第59条第5項)。これは引き継いだ側の手続きですが、売る側が検査証の原本を渡さなければ進められないため、引き渡しのときに忘れずに渡しましょう。
ユニック車を売却する流れ(7ステップ)
- 車両とクレーンの情報をまとめる:車検証の情報(車名・型式・年式・車両総重量・最大積載量)、走行距離に加えて、クレーンのメーカー・型式・つり上げ荷重・段数・ラジコンの有無を1枚にまとめます。
- 書類をそろえる:車の売却書類(次の章)と、クレーンの自主検査の記録・検査証・整備明細を用意します。
- クレーン付きトラックを扱う業者を選んで依頼する:乗用車中心の買取店ではクレーンの価値が評価に入りにくいことがあります。トラック専門の買取業者など、架装を評価できる業者を含めて複数社に依頼します。
- 実車査定でクレーンを動かして見せる:アウトリガーを張り出せる広さの場所を確保し、伸縮・起伏・旋回・巻上げとラジコン操作を一通り見せます。不具合は先に申告します。
- 手取り額と条件で比べる:提示額から引き取り費用・手続きの代行料を引いた手取り額、入金日、引き渡し後の減額の条件を同じ項目で比べます。
- 契約・引き渡し:契約書の解約・減額の条件を確認してから署名します。引き渡し時に、クレーンの記録・検査証・ラジコンの送信機・取扱説明書を一緒に渡します。
- 名義変更の完了と入金を確認する:名義変更(移転登録)の完了を書面で確認し、入金を確かめます。
業者を比べる観点と、見積もりを手取りで並べる記入表はトラック買取業者の比較ポイントにまとめています。四輪の自動車は訪問購入のクーリング・オフの対象外の物品とされている点も、同じ記事で解説しています。
必要書類:車の書類はほかのトラックと同じ
ユニック車も、名義変更のために売る側が用意する書類は普通のトラックと同じです。登録自動車であれば、譲渡証明書(実印を押印)と発行から3か月以内の印鑑登録証明書、代理人が申請する場合の委任状が基本で、これに車検証などが加わります(出典:国土交通省「車を売買等により名義変更するために必要な書類」)。
- 状況別(住所変更・ローン残債など)の書類の一覧は車売却の必要書類一覧で確認できます。
- 法人名義の場合の印鑑証明書・委任状や、所有権留保・リース車両の扱いは中古トラックの走行距離の目安と過走行車の売り方(法人の手続き表)で表にしています。
車の書類に加えて、前の章の「クレーンの書類」をそろえるのがユニック車ならではの準備です。
過走行・古いユニック車の考え方
トラックは事業で長く走る前提のため、走行距離が多くても値が付く場合があります。ユニック車ではさらに、クレーン部分の状態と記録が評価の材料になります。シャシーの距離が多い場合こそ、エンジン・ミッションの整備明細とクレーンの自主検査の記録をそろえ、クレーンの作動を見てもらえる状態で査定を受けましょう。走行距離の分布と過走行トラックの売り先は中古トラックの走行距離の目安と過走行車の売り方で解説しています。
よくある失敗と回避策
- 「ユニック」とだけ伝えて型式を伝えない:同じ呼び名でもつり上げ荷重や段数が違えば評価が変わります。銘板の写真を添えて伝えましょう。
- 検査の記録を探さずに査定を受ける:記録がないとクレーンの状態を示す材料が減ります。整備工場に控えが残っていないかも確認します。
- ラジコンの送信機を引き渡し時に渡し忘れる:付属品の欠品は減額や引き渡し後のやり取りの原因になります。チェックリストに入れておきます。
- クレーンを修理してから売る:修理費ほど査定額が上がらない場合があります。現状のままの見積もりと修理後の見込みを業者に聞いてから判断します。
よくある質問
Q. クレーンが故障していても買取してもらえますか?
A. 対象になることがあります。ベース車や荷台に価値が残っていれば、クレーンの不調を前提に査定されます。不調の内容を正確に伝え、修理する場合としない場合の両方で見積もりを取って比べてください。
Q. 定期自主検査の記録がないと売れませんか?
A. 売れなくなるとは限りませんが、クレーンの状態を示す裏付けが少なくなります。記録の有無を正直に伝え、実車でクレーンの作動を確認してもらいましょう。
Q. 移動式クレーン検査証の有効期間が切れていても売れますか?
A. 業者によって扱いが異なります。検査証の有効期間と性能検査の受検状況を査定時に伝え、引き取り後の扱いを確認してください。
Q. 他社製のクレーンを載せた車でも「ユニック車」として査定を頼めますか?
A. 依頼はできますが、呼び名ではなく、クレーンのメーカー・型式・つり上げ荷重・段数で伝えるほうが正確に評価されます。
関連記事:冷凍冷蔵車・ウイング車など架装ごとの査定のポイントは架装別の査定チェック表、重機とまとめて売る場合は建設機械・重機の査定で見られる項目で解説しています。
まとめ
- ユニック車は「クレーン」と「ベース車」を別々に見られます。クレーンのメーカー・型式・つり上げ能力・段数・ラジコン・アウトリガーと作動を確認しておきましょう。
- クレーンの定期自主検査(年次・月次)の記録は3年間保存が求められる書類です。つり上げ荷重3トン以上なら移動式クレーン検査証もあり、売却時に原本を渡します。
- 車の売却書類はほかのトラックと同じです。クレーンを評価できる業者を含めて複数社に依頼し、手取り額と条件で比べましょう。
本記事は一般的な参考情報を提供するものであり、特定のサービス・契約・取引の結果を保証するものではありません。 制度・料金・各社サービスの内容は変更される場合があります。実際のご契約・お手続きの際は、必ず各社の公式情報や最新の一次情報をご確認ください。