家族・知人から車をもらう手続き|名義変更・必要書類・贈与税
親や知人から車をもらう(譲り受ける)ときの手続きを、やる順番に整理。名義変更は15日以内、普通車と軽自動車で違う必要書類、車庫証明が要る場合と要らない場合、贈与税の基礎控除110万円と車の評価の考え方、自動車税・自賠責・任意保険の切り替えまで分かります。

家族や知人から車をもらったら、もらった人(新しい所有者)が、譲り受けた日から15日以内に名義変更(移転登録)をします。普通車は、あげる人の譲渡証明書と、新旧両方の所有者の印鑑登録証明書(発行後3か月以内)が必要です。軽自動車は実印・印鑑登録証明書が不要で、もらう人の住民票の写しなどで手続きできます。
名義変更のほかに、自賠責保険と任意保険の切り替え、車の価値によっては贈与税の申告も必要です。この記事では、車を「もらう側」がやることを順番に整理します。亡くなった家族の車を受け継ぐ場合は相続の手続きになるため、相続した車の手続きを確認してください。
車をもらうときにやることの全体像
おおむね次の順で進めます。期限があるのは名義変更(15日以内)と贈与税の申告(翌年3月15日まで)です。
| 順番 | やること | 主に誰がやるか | 期限・時期 | 窓口 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 車検証で「所有者」を確認する | あげる人・もらう人 | 譲る前 | ― |
| 2 | 車庫証明(保管場所証明)を取る ※使う場所が変わる場合 | もらう人 | 名義変更の前(証明の日からおおむね1か月以内のものを使う) | 保管場所を管轄する警察署 |
| 3 | 書類をそろえて名義変更する | もらう人(代理申請も可) | 譲り受けた日から15日以内 | 運輸支局(軽自動車は軽自動車検査協会) |
| 4 | 自賠責保険の名義を変更する | もらう人 | 名義変更のあと速やかに | 自賠責保険の保険会社・共済 |
| 5 | 任意保険を切り替える | もらう人・あげる人 | 運転を始める前 | それぞれの保険会社 |
| 6 | 贈与税の申告が必要か確認する | もらう人 | もらった年の翌年2月1日〜3月15日 | 税務署 |
1の確認で、所有者欄がディーラーや信販会社になっていれば、ローンが残っていて所有権が留保されている状態です。この場合は、先に残りのローンを清算して所有権を解除しないと名義を移せません(進め方はローンが残っている車の手続きと同じです)。
名義変更の必要書類(普通車/軽自動車)
車をもらう場合も、手続きは売買と同じ「移転登録」です。代金のやり取りがなくても、所有者が変われば名義変更が必要です。
| 区分 | 普通車(運輸支局) | 軽自動車(軽自動車検査協会) |
|---|---|---|
| あげる人(旧所有者)が用意 | 車検証、譲渡証明書(実印を押す)、印鑑登録証明書(発行後3か月以内)、委任状(代理人が申請する場合。実印を押す) | 車検証、申請依頼書(代理人が申請する場合)。実印・印鑑登録証明書は不要 |
| もらう人(新所有者)が用意 | 印鑑登録証明書(発行後3か月以内)、委任状(代理人が申請する場合。実印を押す)、車庫証明書(使う場所が変わる場合) | 住所を証する書面(住民票の写しまたは印鑑登録証明書。発行後3か月以内)、申請依頼書(代理人が申請する場合) |
| 窓口で用意 | 申請書(OCR第1号様式)、手数料納付書 | 自動車検査証変更記録申請書 |
| 管轄が変わる場合 | 車を持ち込んでナンバープレートを交換 | ナンバープレートを返納して交換(ナンバー代がかかる) |
出典:国土交通省 自動車検査登録総合ポータルサイト「売買等により譲渡、譲受する手続き」、軽自動車検査協会「名義変更」(いずれも2026年10月7日確認)。軽自動車の住民票の写しは、マイナンバーが記載されていないものとされています。
期限の15日は、道路運送車両法で所有者が変わったときの申請期限として定められています(出典:e-Gov法令検索「道路運送車両法」)。手数料やナンバー代の目安、手続き当日の流れは車の名義変更の手続き、譲渡証明書と委任状の書き方は委任状・譲渡証明書の書き方で解説しています。
なお、車を取得したときにかかっていた自動車税(環境性能割)は、2026年3月31日で廃止されています(千葉県「自動車税(環境性能割)」)。
車庫証明が要る場合・要らない場合
普通車では、名義変更にともなって車を使う場所(使用の本拠の位置)が変わるときに、警察署で取った自動車保管場所証明書(車庫証明)が必要です(警察庁「自動車の保管場所証明申請」)。
| ケース | 普通車 | 軽自動車 |
|---|---|---|
| 同じ家に住む家族からもらい、同じ駐車場で使い続ける | 使用の本拠の位置の表示が変わらなければ、車庫証明の添付は不要とされている | 保管場所の位置が変わらなければ、届出は通常不要 |
| 別の家に住む家族・知人からもらう | 必要(証明書の適用地域の場合) | 保管場所の位置を変えたときは届出が必要(届出が不要な地域もある) |
保管場所は、使用の本拠の位置から2キロメートル以内で、道路以外の場所であることなどが要件です。車庫証明は申請から交付まで日数がかかることが多いため、15日の期限から逆算して早めに申請しましょう。軽自動車の届出は警察庁「自動車の保管場所届出」で確認できます。地域による違いは、管轄の警察署で確認してください。
贈与税:1年間にもらった財産が110万円を超えるか
個人から無償で車をもらうと、車は贈与税の対象になる財産です。国税庁の案内では、暦年課税の場合、その年の1月1日〜12月31日にもらった財産の合計から基礎控除110万円を差し引いた残りに税率をかけます。合計が110万円以下なら贈与税はかからず、申告も不要です(国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合)。
| 確認すること | 国税庁の案内 | 車をもらう場合の読み方 |
|---|---|---|
| いくらまでなら税がかからないか | 1年間にもらった財産の合計が基礎控除110万円以下なら、贈与税はかからない | 同じ年に現金など他の財産ももらっていれば合算する |
| 車の価額はどう決めるか | 一般動産は、売買実例価額・精通者意見価格等を参酌して評価する(財産評価基本通達129) | 同じような中古車が実際に売買されている価格などを参考にする考え方。いくらで評価するかは税務署・税理士に確認する |
| 税率 | 基礎控除後の金額が200万円以下なら10%(一般税率・特例税率とも) | 18歳以上の子・孫が父母・祖父母からもらう場合は「特例税率」、それ以外は「一般税率」の表を使う |
| 申告・納税の期限 | もらった年の翌年2月1日〜3月15日に、もらった人が申告・納税する | 年をまたぐ時期にもらう場合は、どの年の贈与になるかを税務署に確認しておく |
| 安く買った場合 | 著しく低い価額で譲り受けると、時価との差額が贈与とみなされる | 「親から10万円で買った」場合も、時価との差によっては贈与税の対象になりうる |
出典:国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)、No.4429 贈与税の申告と納税、No.4423 個人から著しく低い価額で財産を譲り受けたとき、財産評価基本通達 第6章第1節 一般動産(いずれも令和8年4月1日現在の法令等として掲載。2026年10月7日確認)。
例)その年にほかの贈与がなく、車の評価額が150万円だった場合、(150万円−110万円)×10%=4万円が贈与税の目安になります。評価額が110万円以下なら、この車だけでは贈与税はかかりません。実際の評価額の決め方や、「相続時精算課税」を選ぶかどうかで結果が変わるため、金額が大きい場合は税務署または税理士に確認してください。
自動車税(種別割)・軽自動車税は誰が払うか
自動車税(種別割)と軽自動車税(種別割)は、毎年4月1日時点の所有者に1年分が課税されます(総務省「自動車税・軽自動車税」)。年度の途中で名義を変えても、その年度分は4月1日時点の所有者が納める扱いで、名義変更による還付はありません(埼玉県「自動車税のしくみ」)。
- その年度の税は、あげる人宛てに届く:もらった人が負担するかどうかは、当事者同士で決めることになります。
- 3月にもらう場合は4月1日をまたがないように:名義変更が3月31日までに終わらないと、新しい年度の分の納税通知もあげる人に届きます。
- 住所が変わる場合:翌年度からは、もらった人の住所を管轄する都道府県(軽自動車は市区町村)から納税通知が届きます。
自賠責保険・任意保険の切り替え
自賠責保険は名義変更の手続きをする
車に付いている自賠責保険は、有効期間が残っていれば車と一緒に引き継げます。国土交通省は、中古車を購入または譲り受けたときは、有効な自賠責保険証明書があることを確認し、必ず名義変更等の手続きをするよう案内しています。手続きは自賠責保険の保険会社の窓口などで行います(国土交通省「売買等によりクルマを譲り受けた皆様へ」)。
任意保険の等級を家族から引き継げるか
| あげる人との関係 | 等級の引き継ぎ | もらう人がすること |
|---|---|---|
| 配偶者、同居の親族、配偶者の同居の親族 | 記名被保険者(主に運転する人)を変更することで引き継げる場合がある | 契約中の保険会社に、記名被保険者の変更と車の名義変更を連絡する |
| 別居の親族(実家を出た子など)・知人 | 引き継げないのが一般的 | 自分で新しく契約する。すでに自分の車の保険があり2台目になる場合は、条件により新規7等級で始められることがある |
参考:ソニー損保「等級は家族に引継げるの?」、あいおいニッセイ同和損保「家族との間で等級を引き継げますか?」。引き継げる親族の範囲や手続きは保険会社ごとに異なるため、契約中の保険会社に確認してください。
あげる人が車を手放して運転をやめる場合、等級を引き継がないなら、保険会社に中断証明書を出してもらうと等級を保存できることがあります。発行条件は自動車保険の乗り換えと等級引き継ぎで整理しています。名義変更の日と保険の切り替え日がずれると、補償のない期間ができるおそれがあるため、運転を始める日までに両方を済ませましょう。
関係別の早見表:何が変わるか
| もらう相手 | 車庫証明(普通車) | 任意保険の等級 | 贈与税の税率表 |
|---|---|---|---|
| 同居の親(同じ駐車場で使う) | 使用の本拠の位置が変わらなければ不要 | 記名被保険者の変更で引き継げる場合がある | 18歳以上なら特例税率 |
| 別居の親・祖父母 | 必要 | 引き継げないのが一般的 | 18歳以上なら特例税率 |
| 配偶者 | 使う場所が変わらなければ不要 | 別居でも引き継げる場合がある | 一般税率 |
| 兄弟姉妹・おじ・おば | 同居で同じ場所なら不要、別居なら必要 | 同居なら引き継げる場合がある | 一般税率 |
| 知人・友人 | 必要 | 引き継げない | 一般税率 |
贈与税の税率表の違いが結果に影響するのは、基礎控除後の金額が200万円を超える場合です。車1台の評価額が310万円以下で、その年にほかの贈与がなければ、どちらの表でも税率は10%です。
手続き前のチェックリスト
- □ 車検証の所有者欄があげる人本人になっている(信販会社などなら先に所有権解除)
- □ 車を使う場所が変わるか確認し、変わるなら車庫証明を申請した
- □ (普通車)あげる人の譲渡証明書・印鑑登録証明書、もらう人の印鑑登録証明書がそろい、発行後3か月以内である
- □ (軽自動車)もらう人の住民票の写し(マイナンバーの記載なし)などを用意した
- □ 譲り受けた日から15日以内に申請できる日程を組んだ(3月は4月1日をまたがない)
- □ 自賠責保険の名義変更と、任意保険の切り替え日を決めた
- □ その年にもらった財産の合計が110万円を超えるか確認した
よくある質問
Q. 親子や夫婦の間でも名義変更は必要ですか?
A. 必要です。所有者が変わる以上、家族間でも手続きは他人への譲渡と同じ移転登録です。名義をあげる人のままにしておくと、自動車税の納税通知や違反・事故の連絡があげる人に届き続けます。
Q. 無料でもらった古い車でも贈与税はかかりますか?
A. その年にもらった財産の合計が110万円以下なら、贈与税はかからず申告も不要です。年式が古く取引価格が低い車なら、この範囲に収まることも考えられますが、評価額の判断に迷う場合は税務署に確認してください。
Q. 名義変更を代わりにやってもらえますか?
A. 委任状(軽自動車は申請依頼書)があれば、家族や行政書士などの代理人が申請できます。普通車の委任状には実印が必要です。
Q. もらった車をすぐに売ることはできますか?
A. 先に自分の名義に変えてから売るのが基本です。売るときに必要な書類は車売却の必要書類一覧で確認できます。
参考:公的機関の案内
- 名義変更(普通車):自動車検査登録総合ポータルサイト(国土交通省)
- 名義変更(軽自動車):軽自動車検査協会
- 贈与税:国税庁タックスアンサー
手続きの細部は、運輸支局・軽自動車検査協会・警察署・税務署で扱いが異なる場合があります。最新の情報は各機関の案内で確認してください。
まとめ
- 車をもらったら、もらった人が15日以内に名義変更します。普通車は新旧の印鑑登録証明書と、あげる人の実印を押した譲渡証明書が必要で、軽自動車は実印・印鑑登録証明書が不要です。
- 使う場所が変わる場合は車庫証明が必要です。同じ家の家族から同じ駐車場でもらうなら、不要とされる場合があります。
- その年にもらった財産の合計が110万円を超えると贈与税の申告が必要です。自動車税は4月1日時点の所有者に課税され、自賠責・任意保険の切り替えも忘れずに行いましょう。
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